プログラム
教職員のメンタルヘルス問題
教職員のメンタルヘルス問題について。
うつ病リワークLittle Plus 青井です。
まずは、下の図を見てください。
記載がありませんが、全国の教職員を対象にした調査の結果です。
教職員の病気休職者の数とそのうちの精神疾患がしめる割合です。
08年度の調査結果です。うつ病、適応障害等の精神疾患で休職した公立学校の教員は5000人を超えています。
この数字、皆さんはどう思いますか?
かなり深刻ではないでしょうか?
最近では、以下のような記事も目につくようになっています。
痛ましいことです。
調査について、もう少し新しい調査結果が出ており、読んでみました。
平成25年3月29日付けのデータ「教職員のメンタルヘルス対策検討会議 教職員のメンタルヘルス対策について(最終まとめ)」という資料です。
ざっくりとまとめてみますと、以下のような状況だそうです。
平成4年度から平成21年度にかけて17年連続して、病気休職者は増加している
そのうち精神疾患によるものの割合は0.11%から0.6%にまで増加している
公立学校の精神疾患を理由とする離職教員数は651人(平成22年度)
精神疾患で休職している教員は、40歳代、50歳代の割合が多い
特に中学校や特別支援学校などで割合が高い
などの記載があり、やはり深刻な状況を垣間見ることができます。
また、資料では、その背景等についても記載されています。
業準備や成績処理などで残業時間が増加している
勤務日の残業時間が平日・休日1ヶ月当たり平均約42時間
これは、昭和41年度結果が平均約8時間と比較すると5倍以上
もとめられる業務の質の困難化
企業に比べて管理職が少ない、鍋蓋型組織であり、ラインケアを行なう際の困難さがある
対人援助職であるために、必ずしも決まった正解がない事例が多く、終わりが見えにくく目に見える成果を実感しづらい場合も多い
などが挙げられています
同時に職場での人間関係の特異さにも言及されています。
同僚の職員に対して意見等を言いにくいことがあり、言いたいことが言えない雰囲気がストレスの原因となっているかもしれない
自分たちの指導等にあまり干渉されたくないという心理
そうした背景もあり、職場での良好な人間関係が十分に形成されず、対人関係上のストレスがある場合には、職場において孤立するようになり、職場における業務やコミュニケーションについて、うまく対応できない状況が生まれやすい
同僚や上司・部下との人間関係に加えて、児童生徒や保護者等の人間関係も相互に影響しあうため、一部の人間関係が難しくなると全ての人間関係が悪くなっていき、トラブルに発展するケースもある
また、学校内における復職支援についても記載があります。
概ね1ヶ月~3ヶ月の復職プログラムである。
しかし、学校内の復職支援に至る前の支援については、教職員は障害者職業センター内のリワークを利用できないため、民間の医療機関等で実施されているリワークプログラムやデイケアなどの利用をすすめている。
職場に類似した環境を勤務場所として想定して通い、滞在する訓練を重ね、本人の自覚や家族の(そして、リワーク施設職員)の評価等を踏まえ、学校内の復職プログラムの実施時期について見極める。
以下、復職プログラム実施中において求められる快復水準を抜粋しています。
1~3ステップがあります。
○ 元の状態に戻るまでには、いくつかの段階を設定しながら経過を把握する必要があ
ることから、段階ごとの具体的なプログラム内容と、段階ごとに求められる水準につ
いて明確にしておく必要がある。
求められる水準としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
(第1段階)
・職場復帰に対して十分な意欲を示してプログラムを実施できたか
・前日の疲労が翌日までに十分回復しているなど、睡眠時間や食生活等の日常生活
に問題がなかったか
・業務を行うにあたって、必要な注意力や集中力があったか
(第2段階)
・復職プログラムの実施中、休むことなく決められた時間に職場に滞在できたか
・校務の補助として必要な作業(書類作成や文書整理、関係者との意思疎通、軽度
の運動等)ができたか
・同僚や児童生徒との意思疎通ができたか
(第3段階)
・通常勤務に対して休まずに自らの体調をコントロールして業務ができたか
・指導案を作成し、単独で授業ができたか など
こうした学校内での復職プログラムも大切ではあります。
職場の人間関係や雰囲気に再度馴染んでいく必要があります。
そして、その前の段階、特にリワークプログラムについてはより一層大切な取り組みとなると考えます。
ストレス耐性を向上させることや、うまくコーピングを行なうこと。
人間関係の上手な持ち方や、自身の物事の捕らえ方や考え方を柔軟にすること。
あるいは、休職中に落ちた体力や集中力や思考力を向上させることなど。
こうしたリワークプログラムを受けていく必要があります。
職場や職員が変わらない場所に戻るわけですから、よい一層リワークプログラムの必要性と重要性が見えてきます。
リトルプラスでは、うつ病からの回復と職場復帰をサポートしております。
施設の見学、プログラムの体験も受け付けております。
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この記事の投稿者
PROFILE
公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士
青井 洸
Kou Aoi