30代 男性

病気になるのは悪いことだけではないと今は思えるようになってきています。

私は、うつ状態で休職してから、「休んでも休まれず」、一日中同じ体勢で鬱々とした気分で固まり続ける…といった苦しい日々が1年以上続きましたが、自分に合う薬の組み合わせが見つかったこと等により、徐々に回復の兆しが見られるようになりました。

この間、休み続けていた結果、頭も体もかなり衰えたような状態になっており、働ける状態に戻していくには何らかのトレーニングが必要な状況であることは強く感じていました。
そんな中、縁があってリトルプラスに見学に行ってみたことが、結果的には大きな一歩となりました。

最初の印象は、「なんだか自分より元気そうな人がたくさんいる、この中でやっていけるだろうか」という不安が先立ちました。
中に入っていく自分が最初はイメージできなくて、とてもためらいましたが、何度か見学させてもらったり、体験させてもらう中で研修生の方たちの話しぶりから感じるものが「なんとなくよさそう」だったのが、決め手だったように感じます。

実際に参加してみると、ずっと他人と接触する機会をシャットアウトしていたので、もうなんというか話をするだけでとても負担で、最初はすごくストレスにも感じました。

「こんな状況で大丈夫なんだろうか」と心配になっていましたが、スタッフの方から「そんなもんですよ」、「ぼちぼち、ゆっくりと」と、励ましとともに自分の気持ちに寄り添ってもらえたことで、少しずつですが、リトルプラスに通うことが回復への道なんだと思えるようになり、自分の意思で、活動に取り組むという意識を持っていくことが出来ました。

時間が経つにつれて、少しずつ体と心が新しい刺激にも馴染んでいく感じがありました。

リトルプラスのプログラムは多彩で、それぞれのしかけが上手に出来ていると思います。
いろんなことを学んだり、身につけるきっかけを色んな角度から与えてくれます。
プログラムを通じて、負担なくコミュニケーションできるようなしかけも工夫されています。
「デジカメ散策」といったプログラムもただ写真を撮るだけではないのが、面白いところです。

そういった中で、自分がこれを頑張っていきたいというものがあれば、それを尊重してくれます。
個人個人のペースに合わせてやっていけることもいいところだなと思います。

おかげさまで、「それは無理」と最初は感じていたことが、少しずつ出来るようになってきている気がします。

自分が少しずつでも変化出来る体験が出来るのは、とても貴重に感じています。

休職してから、働ける状態に戻していくために、一人でやるには出来ないことが、ここでは出来るというのがリトルプラスのとても大きいメリットだと思います。

病気になるにもいろいろなタイプがいること等、いろいろな気づきもあります。
不安、緊張、イライラといった感情をどう捉え、どう解釈していくかといったことについては認知行動療法なども皆で学べます。
そんな中で、自分を見つめ、自分を客観視し、自分を表現すること、こういったトレーニングもリトルプラスでは経験させてもらえます。
私は自分を表現することが苦手なタイプなのですが、そういったことも、少しずつですが、出来るようになってきたような気もしています。

自分のことだけでなく、プログラム等を通して他の人の内面なども少しずつ知ることが出来、それが自分への気づきにもつながってくることがあります。

負荷を乗り越えられてきていることが、少しずつですが、自分への自信に繋がっています。

辛かったときがある分、ここまで回復できているという実感は、しみじみとうれしいものです。

「集中力が少しずつ戻ってきた」、「少しずつ考えられるようになってきた」、「記憶力が戻ってきた」、「楽しめる力が戻ってきた」…等等。

出来るようになったことがある一方で、まだまだ出来ないことはたくさんありますが、なんとなくこんな自分も少しずつ認められるようになってきている気もします。
いろいろな葛藤がありますが、そんな葛藤も話し合える人たちが近くにいるということは本当にありがたいことだと思います。

調子を崩さなければ、こういう出会いもなかったんだよなぁと思うと、病気になるのは悪いことだけではないと今は思えるようになってきています。